歯のひび
2025.11.02

鏡でご自身の歯を見てみると、ひびのような小さなスジが入っているのを見たことはないでしょうか?
歯にひび割れがあると心配になるかと思います。
歯は硬い組織ではありますが、過剰な力が加わりすぎてしまうと壊れてしまう事があります。
また衝撃が原因だけではなく年齢を重ねていくとともに細かいひびが入っていきます。この細かいひびの事をマイクロクラックと言い、このマイクロクラックがある場合はひびの中に虫歯菌が入り込みやすいため虫歯になりやすくなってしまいます。このような歯のひびの原因などについてお話して行きます。
《原因》
さまざまな原因がありますが噛む力やかみ合わせの悪さ、噛む力の偏り、歯ぎしりや食いしばりによる負担です。また硬いものをかみ砕いた時や弾力のあるフランスパンのような物を嚙みちぎった時にも縦にひび割れしやすいのです。特に神経のない歯は神経のある歯に比べてとてももろくひび割れを起こしやすいです。

・歯ぎしり食いしばり
日常生活の中で食いしばりや睡眠時の歯ぎしりによって、毎日のダメージの蓄積により、ある日突然にひびが入ってしまうのです。特に就寝時は日中の何倍もの力が長時間かかりますので寝るときはナイトガードを装着するのがお勧めです。
・外傷
転倒や交通事故などによってぶつけてしまったりコップやお茶碗などをぶつけて強い衝撃が加わってしまい歯にひびが入ってしまう場合。
・神経を抜いている歯
虫歯が神経に達していたり歯の根管が細菌に感染してしまうとやむを得ず神経を取り除くような治療を行う場合があります。歯の神経まで及ぶような虫歯があった歯は、健康な歯質が大きく損なわれている状態となりますので、治療によって補強や被せ物をしていても歯自体の強度は低下しており、ヒビが入る危険性が高いのです。

《治療法》
エナメル質までのヒビであれば経過観察することが多くなりますが象牙質の深部にまでヒビが達すると、ちょっとした刺激でも痛みを感じるようになります。治療としてはエナメル質のヒビであればレジンでひびを埋める事もありますが、象牙質の深くまでヒビが入ってしまうと神経を除去し根管内部を洗浄・消毒する根管治療が必要になったりもします。また歯の根が折れている場合やヒビが根の先の方まで達している場合は歯肉や顎の骨にまで炎症が起こり痛みが発生します。その場合、多くのケースでは抜歯となってしまいます。
歯のひびは自然に再生されることはありません。そして予防することが難しく、特に小さなひびはレントゲンに映らないため見つけるのが難しい場合もあります。そのまま放置するとひび割れが大きくなり、歯を支えている歯槽骨にまで影響が出て腫れや強い痛みの原因になります。小さなヒビの段階では自覚症状がないことが多いのでご自身では気づけません。ご自身で気がついた時はもちろんですが、歯のひびは定期検診で発見できる事もあります。早期に発見し適切な対応をとるためにも定期的に歯科医院を受診することが大切です。