根管治療の成功率を
上げるための取り組み
根管治療は歯の中にある細い管、いわゆる根管にアプローチする治療法です。根管は非常に複雑で入り組んだ構造をしているため、治療対象が見えにくいという特徴があります。そのため、感染部位や感染源を完全に取り除くのが難しく、残った細菌や感染物質が原因で再感染が起こるケースが少なくありません。
また、根管内に細い器具を通す必要があるため、デリケートな操作が求められます。この操作技術に問題がある場合も、感染組織が残ってしまい、再発リスクが高まります。そこで当院では、根管内の「可視化」と「感染組織を徹底的に除去するための工夫」によって、根管治療の成功率を向上させています。
CT診断の活用
従来のレントゲン診断ではなく、CTによる三次元撮影を行います。レントゲン撮影では二次元の平面画像しか得られませんが、CTを使用することで根管の形状をより詳細に把握することができます。
使用する歯科用CTは医科用のCTと比べて被ばく量が大幅に抑えられているため、複数回撮影しても身体への影響はほとんどありません。このようなご心配についても解消できるよう、丁寧なカウンセリングを心がけていますので、お気軽にご相談ください。
マイクロスコープの使用
当院では、視野を肉眼の約25倍まで拡大できるマイクロスコープを使用しています。細部まで観察できるだけでなく、明るい環境で治療を行えるため、根管治療の成功率が上がります。
ニッケルチタンファイルの使用
複雑な根管内の感染組織を徹底的に除去するため、ファイルという器具を使用します。従来のステンレスファイルは柔軟性に欠けるため、入り組んだ根管内の隅々までアプローチできません。そこで当院では、柔軟性に優れたニッケルチタンファイルを使用しています。
削りカスを溶解する各種薬剤の活用
ニッケルチタンファイルで根管内の汚染組織や神経を取り除いても、削りかすが残ってしまいます。当院では、高濃度次亜塩素酸水やEDTAを使って根管内の削りカスを溶解し、根管内を消毒しています。
被せ物の種類も成功率に影響
根管治療後の被せ物の種類も、治療の成功率に影響を与えます。保険適用の銀歯は歯と歯の間にすき間ができやすく、そこにむし歯が再発するリスクが高い被せ物です。
一方、自費診療のセラミックは歯と歯の間にすき間ができにくいため、むし歯の再発リスクを抑えることができます。
神経を取ることは
歯を失うことではない
むし歯が大きく進行している場合、やむを得ず神経を取り除くことになる可能性があります。激しい痛みがなくても、治療しなければ顎の骨に炎症が広がったり、根の先に膿の袋ができたりする恐れがあるため、早期の処置が必要です。歯の神経を取ると、歯に栄養が行き渡らなくなり、歯が弱くなります。
しかし、治療の工夫によって歯の強度や機能をできるだけ維持することも可能なため、歯の神経を取ることが即、歯を失うリスクを大きく高めるわけではありません。
当院では、患者さんの状態に合わせて最適な治療法をご提案し、歯の健康を少しでも長く保つことに努めていますので、お気軽にご相談ください。