親知らず
2024.07.31
「親知らずは抜いた方が良いのですか?」と相談のため来院される方が多くいらっしゃいます。
結論から言うとケースによるためどちらとも言えません。例えば上の歯の親知らずなのか?下の歯の親知らずなのか?歯の根っこの先はまっすぐか?下の歯の場合では血管や神経(下歯槽神経)と接近していないか、上の歯の場合では鼻の空洞(副鼻腔)に接近していないかこれらを総合的に診断した上で抜歯するべきかを考えていきます。
成人のお口の中は上16本で下16本合計32本の永久歯が存在しています。
1番奥に生えていて正中から数えて8番目にある第3大臼歯が親知らずと言います。
一般的には10代後半から20代に生えてきますが生えて来なかったり、歯肉の下に埋まったままであったり、少しだけ生えている等個人差があります。
親知らずが生えていると痛みが生じたり、歯ブラシがよく当てられない状態であったり、頬の内側を噛んでしまうなどのトラブルをよく聞きます。親知らずを抜歯するべきなのか?生え始めて悩んでいる方は参考にしてみてください。
抜歯をした方がよいケース
☆ 虫歯・・・親知らずが生えているのに充分なスペースがないと斜めに生えてきたり、少しだけ頭が出ている状態になることがあります。そうなると歯ブラシが届きにくく汚れが溜まりやすく、特に親知らずと前方隣の歯との間に汚れが溜まりやすくなり、両方の歯が虫歯になりやすくなります。
☆ 歯周病・・・清掃状態が良くないと汚れが溜まり口臭の原因や歯肉に炎症が現れてしまいます。睡眠不足や体調不良の際に腫れたり痛みを感じたりすることがあります。
☆ 噛み合わせ・・・親知らずが噛み合う場所にある歯肉や頬の内側粘膜を噛んでしまい傷を作ってしまう場合があります。
☆ 歯科矯正治療を受ける予定がある場合・・・親知らずが横向きに生えていると生えようとする力により他の歯が圧迫されます。また矯正の後戻りの原因となりやすいとも言われております。
親知らずを残せるケース
☆ 正常に生えている・・・まっすぐ完全に生えていて噛み合わせも問題なくブラッシングもしっかり出来ていているのであればあえて抜歯する必要はありません。
特に噛みしめ、食いしばりの癖がある方で上下整って生えている親知らずの場合は機能を果たしてくれる事を期待して抜かないケースもありますが、やはりしっかり磨ける事が前提となります。
☆ 骨の中に完全に埋まっている状態・・・完全に骨の中に埋まっている方で口腔内環境や顎、隣の歯に影響を与えてないのであれば放置しておいて良い場合もあります。
親知らずは必ずしも抜歯しないといけないものではありません。しかし親知らずが原因で虫歯や歯周病を引き起こすリスクも高くなります。そうならない為には歯ブラシが届きにくい親知らずですが日頃のセルフケアをしっかり行いトラブルを未然に防ぐことがより大切になります。それでも痛みや腫れを繰り返したり将来のトラブルの元になりそうだと判断される場合は抜歯するとよいでしょう。