妊娠中・持病がある方の歯科での麻酔 ~安全に歯科治療を受けるために~
2025.12.24
歯の治療は、麻酔を使うことで痛みを感じにくく安全に行うことができます。
しかし、「妊娠中でも大丈夫?」「持病があるけど麻酔して平気かな?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな方に知っておいてほしい麻酔の基本と注意点をお伝えします。
まず、歯科で使われる局所麻酔は、体に作用する範囲がとても限られています。
一般的に使用される「リドカイン」という成分は、適切な量であれば妊婦さんや持病のある方にも安全性が高いとされています。
ただし、妊娠初期(特に12週まで)は胎児の器官形成期にあたるため、緊急でない治療は安定期(16週~27週ごろ)に行うのが望ましいとされています。
妊娠後期も同様に歯科で用いる麻酔薬は少量であり使用に関して問題ありませんが、体調と相談の上、できる限り安定期に処置を行う事が1番良いでしょう。

次に、持病がある方の場合です。
たとえば、高血圧症やリスクの高い心臓疾患のある方には「血管収縮剤を含まない麻酔薬」を選ぶことがあります。
歯科で用いる局所麻酔薬には血管収縮薬として、アドレナリンが含まれているものが多いですが、この血管収縮薬には出血を抑えたり麻酔が効きやすくしたりする効果があります。血管収縮薬には血圧や心拍数を上げることもあるため、使用に関しては体調や服薬内容に応じて慎重に判断されます。
糖尿病の方の場合は、血糖値のコントロールが安定していることが重要です。コントロールされていない糖尿病の方は炎症や感染を起こしやすいため、その炎症や感染がある事で麻酔の効きが悪くなることもあります。
また、服用中のお薬も大切な情報です。
血をさらさらにする薬(ワーファリンなど)や、抗不整脈薬、甲状腺の薬などを服用中の方は、麻酔や抜歯の際に注意が必要になることがあります。
そのため、必ず「お薬手帳」を持参し、歯科医師・歯科衛生士にお伝えください。
持病の内容も歯科医師やスタッフにお伝え頂く事で体に優しい治療が可能になります。
妊娠中・持病があるからといって、治療を我慢する必要はありません。
歯科医院では、体調や状況に合わせて最も安全な方法を選び、必要があれば医科と連携して治療を行います。
「麻酔の注射が苦手…」と感じる方は少なくはないと思います。しかし近年の歯科医療ではできるだけ痛みを感じさせない麻酔が進化しています。最近では極細の針(髪の毛ほどの細さ)を使用し、さらに電動麻酔注射器で麻酔液を一定の速度でゆっくり注入します。麻酔液を急に入れると痛みが出やすいため、「ゆっくり一定」がキーポイントになります。また麻酔液を体温に近づけるように温める事で刺激を少なくすることができます。
不安なことはそのままにせず、どんな小さなことでもご相談してみてください。
歯や歯ぐきの健康を守ることは、全身の健康にもつながりますのでしっかり治療を受けましょう。