骨隆起について
2025.03.27
お口の中に何かボコッとした出っ張りがありませんか?
日々の診療で「気がついたら顎の骨が腫れている」、「何かできものがお口の中にできてしまった」など心配され受診される方がいらっしゃいます。実際お口の中を見させていただくと骨にこぶのようなものができています。これは骨隆起といい、部分的に骨が異常に発達・増殖して表面が盛り上がった状態です。骨の塊のため表面を触るとすごく硬いもので歯肉の炎症や腫瘍ではないので痛みは基本的にありません。そして骨隆起には主に3つの種類があり下顎隆起・口蓋隆起・歯槽隆起とあります。
下顎隆起
下顎の内側に見られる半球状の骨の膨らみで基本的には左右対称に見られます。主に小臼歯の裏側にできるので骨隆起が大きくなると舌が骨の上に持ち上げられる状態になり、しゃべりにくくなります。
口蓋隆起
上顎の真ん中から喉のほうに向かってできる骨の膨らみです。上顎を見ることが少ないと思いますので気づかないうちに大きくなっていることが多いです。口蓋隆起も大きくなると発音障害や食べ物が食べにくくなったりします。食事中硬いものがあると当たると粘膜が薄いのですぐに傷ついてしまうことが多いです。
歯槽隆起
歯を支えている歯槽骨という骨にふくらみができます。歯槽隆起は上下の内側、外側の歯茎にできます。歯槽隆起により歯周病が悪化することもあります。
原因
ハッキリとした詳細は明らかになっておりませんが主に言われているのは噛むときの強い力や歯ぎしり・食いしばりにより習慣的に力が加わり顎の骨に負担がかかりその刺激によって骨が盛り上がってしまう事や、親や祖父母など近親家族に骨隆起がある場合遺伝的に出る場合があると言われています。
骨隆起は痛みが伴わないため知らずのうちにゆっくりと骨隆起が大きくなり中高年になってから気づくケースが多いようです。ご自身でも気づかれることもありますが歯科医院で指摘され始めて気づく場合も多いです。
歯茎の腫れとの区別
骨隆起が境界のはっきりしている半球状で盛り上がっている部分を触ると骨の硬さがあるのに対し、歯茎の炎症は赤く腫れあがり触るとプヨプヨと柔らかい感触で歯ブラシ他で当たると出血してしまう事があります。ただ骨隆起は骨が盛り上がっていて粘膜が薄いので傷つきやすく、そのために出血する事もあります。
治療法
骨が部分的に膨らんだものなので日常生活に支障がなければ特に治療する必要性はありません。しかし骨隆起は粘膜が薄いために口内炎が頻繁にできる場合や、大きくなりすぎて食事や発音に支障をきたす場合であったり、入れ歯を作る際に邪魔になる場合は稀ではありますが外科的除去が必要となります。
予防法
無意識的に食いしばりをしている方はかなり多く、食いしばりや歯ぎしりがあると歯に過度の負担がかかるため、就寝時にマウスピースを装着することで負担を軽減することができます。そして就寝時、枕の高さの位置が高すぎると顎を引いた状態になり自然と歯をかみしめる姿勢になるため、骨が隆起しやすくなるという説もあります。枕の高さがあっているかを確認し、立っている姿勢と近い顎の位置になっているかどうかを確認してみましょう。
このように骨隆起は歯茎の炎症や悪性腫瘍(癌)などではないので基本的に痛みもなく様子を見ていただくケースが多いですが、稀に骨肉腫などの疑いがある場合もあります。そして骨隆起があるためブラッシングがしづらく虫歯や歯周病のリスクが高くなっているケースもあります。そのためにも歯科医院で定期検診をしっかり行い、お口の中にコブのようなものを見つけたら相談してみてください。