インプラント治療の流れ
2024.07.31
今回はインプラント治療を検討される方へ分かりやすく情報をお伝えしていきたいと思います。まずインプラント治療を検討されている方は「やむなくして抜歯になり歯が欠損してしまっている状態の方」や、「今現在抜歯をしなくてはいけない状態の歯がある方でその後どういった形で歯を補っていくかを検討中の方」、または「義歯(入れ歯)が入っているが食事中当たって痛かったり異物感がある、上手く会話ができないなどでお困りの方」ではないでしょうか?
普段患者さんからの相談や質問を受ける中でインプラント治療はかなり関心が高く、情報源としてインターネット検索で得られた不確かな情報や家族や知人などから聞いた情報である場合が多いと感じております。インプラント治療をする事で入れ歯のように取り外しやお手入れの手間がなくなる事やしっかり噛む事ができる、隣の歯などに負担やダメージを与えない、自分の歯と同じような感覚といったイメージを受けられている方もいらっしゃれば、「痛いですか?」「腫れますか?」、「費用が高い」、「手術が怖い」、「体にとって安全性や危険は?」と不安やマイナスイメージを抱えている方もいらっしゃいます。
いろいろな情報源はありますがお口の中の状態は一人一人違います。ある人にとってはメリットでも別の人にとってはデメリットとなるケースもあります。これはインプラント治療に限られたことだけではありません。大切なのはあなたにとってどうか?ということです。正しい情報を知った上で、インプラント治療をうけて機能や審美の回復をし、より質の高い生活を送れることは患者さんにとっても利益が多いと思われます。
☆インプラント治療の流れについて☆
①カウンセリング
初診で来院された際、まず患者さんのお口の中の悩み事をお聞きし、インプラント治療についての心配事などについて安心して治療に臨んでいただくためにご説明します。
②事前治療
口腔内のレントゲン検査や歯周病などの検査をして行きます。虫歯や歯周病などが見つかった場合はそれらの治療を優先します。特に歯周病の進行が進んでいるとインプラント治療を行うことができないケースもあります。
③インプラント診断
全身状態の聞き取りや口腔内写真撮影、歯科用CTの撮影
CTスキャンすることで患者さんのお口の中の神経や血管の位置、顎の骨の状態を三次元的に分析して行きます。
④治療計画の説明
カウンセリングや検査・診断をもとに患者さんに術式・期間・費用をご説明します。
患者さんが心から納得ご理解いただけたら治療開始します。
⑤人工歯根埋入手術
顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込む手術です。一般的に歯科診療と同様に局所麻酔で行われます。歯肉をメスで切開し顎の骨に専用のドリルを用いて穴を開けてその後インプラント体(フィクスチャー)を骨の中に埋め込む手術をします。術中は麻酔が効いているためほぼ痛みは感じられません。まれに骨が足りないケースで骨を増やす治療GBR(骨誘導再生療法)やサイナスリフト(上顎洞挙上術)を必要とした場合は術後に痛みや腫れを伴うケースもあります。術後は消炎鎮痛剤や抗生物質を服用していただきます。
1. 定着期間・・・インプラント治療ではチタン製のネジと顎の骨が結合する「オッセオインテグレーション」と言う現象を待つ必要があります。顎の骨が比較的しっかりしている方なら3カ月程度、上顎や再生療法を行った場所では6ヶ月程度待つ場合があります。
2. 上部構造のセット・・・ISQ値の測定(インプラント安定指数)を測定して顎の骨に人工歯根が定着したらアバットメントと呼ばれる土台の上に被せものを装着します。
3. メンテナンス・・・インプラントは埋入したら終了ではありません。治療が終わった後も天然の歯同様にメンテナンスが必要です。インプラントはすべてが人工物で構成されておりますので虫歯になる可能性はゼロですが歯肉や顎の骨の周りの組織には汚れがたまると歯周病と同様にメンテナンスを怠ると「インプラント周囲炎」になる事があります。インプラントを長持ちさせるためには毎日のしっかりしたお手入れと定期的(3か月〜6か月毎)にメンテナンスを受けることをお勧めします。
このようにインプラント治療は3カ月から長い場合には1年以上かかってしまいますが、その分得られるメリットも大きい治療法となります。失った歯の治療を検討する際には治療期間や費用だけに目を向けるのではなく、治療によって得られる結果や将来を見据えることが大切です。