オーラルフレイル
2024.07.31
今では広く認知されてきた「8020運動」。これは厚生労働省と日本歯科医師会が推奨している「80歳になっても20本の歯を残そう」という運動で20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができるということで平成元年から始まりました。現在では国民の半数以上が達成されているとの報告がありますが、人生100年時代、できるだけ長く健康を維持して自立した暮らしを続けていきたいものです。
そこで新たに取り入れた考えがニュースなどのテレビ番組で取り上げられることが多くなったオーラルフレイルの予防があります。
「フレイル」とは?
身体の衰えを表す用語で様々な要因によって健康な状態と要介護の状態の中間になります。要介護状態へ至る前段階のサインとして注目を集めています。
フレイルは加齢により心身が老い衰えた状態の事ではありますが、早く介入して対策を行えば元の健康な状態に戻る可能性があります。高齢者のフレイルは生活の質を落とすだけでなく様々な合併症を引き起こす危険もあります。
その中でオーラルフレイルとは歯・口の機能の虚弱を表します。
オーラルフレイルの症状
① むせる、食べこぼす
② 食欲がない、少ししか食べない
③ 柔らかいものばかり食べる
④ 滑舌の低下
⑤ 口の中が乾く
⑥ 口臭が気になる
⑦ 歯の数が少ない
このような些細な衰えはご自身では気付きにくく、身近な人から指摘されるようになったら要注意かもしれません。
オーラルフレイルの状態に陥ると人生の大きな楽しみのひとつである「食事」への関心や満足度が低下したり、人との交流を避けるようになりやすく閉じこもりがちになり、活動性の低下につながり、筋力の低下、さらには口腔機能の低下を誘発し低栄養状態を引き起こしやすく負の連鎖を招く可能性があります。
オーラルフレイルは歯周病や虫歯による残存歯数の減少により引き起こされるため定期検診を受け、歯周病治療や虫歯治療など適切な処置を早い段階で受けることをお勧めします。
加齢に伴う唾液分泌の低下により、口腔内の衛生状態が悪化しやすく歯周病や虫歯が引き起こされやすいため、継続的なメンテナンスも必要です。実際「オーラルフレイルかどうか?」を判断するために歯科医療機関で「口腔機能評価」をおこなう必要があります。この口腔機能を定期的に評価し口腔機能低下症を予防するために舌や口唇などの運動をすることが大切です。
健康を維持して行くために大事なことはいろいろあります。食事、運動に気を付けて生活習慣病にならないようにと、若い時から多くの人が心がけているかと思います。しかし長い人生を元気なまま自分らしく、一生涯を自立して暮らし続けていけることが理想です。
オーラルフレイルの人はオーラルフレイルでない人に比べ、フレイルやサルコペニア※、要介護認定、死亡のリスクがおよそ2倍も高くなるとも言われております。「お口の衰え」が将来の全身の衰えのサインともなります。オーラルフレイルを早く見つけしっかり対策することが大切です。
※サルコペニア(加齢による筋肉量の減少及び筋力の低下)