金属アレルギー
2024.07.31
ネックレスやピアス、時計などをするとその部分の皮膚が赤みを帯びたり痒くなったりした経験はありますか?
金属アレルギーと言えばこのようなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?
しかし実は原因となる金属は一般的に身体に身につける金属だけとは限りません。
歯科治療に使われる金属がアレルギーの原因となることもあるのです。
今回は金属アレルギーの症状や対処法、予防法についてお話していきます。
歯科治療で銀歯と呼ばれる金属(パラジウム合金)は、日本でしか使用されておらず日本皆保険制度によって最低限の歯の機能回復ができ安価で加工しやすい銀歯として以前生まれたものですが、最近はこの銀歯による悪影響も注目されてきています。
口腔内の銀歯は劣化しやすく傷つきやすいため、表面から溶け出しその金属が唾液などに触れるとイオン化して体内のタンパク質と反応して皮膚の炎症が生じます。
一般的にこうした症状があらわれた場合には皮膚科を受診しますが歯科金属が原因だった場合は皮膚科でいくら治療をしても完治することがありません。
金属によって起こる皮膚疾患
・掌蹠膿疱症
・汗疱
・扁平苔癬
・乾癬
・アトピー性皮膚炎
・蕁麻疹
・多形滲出性紅斑
・舌炎
・舌痛症 etc.
口腔内は唾液により常に湿潤環境で飲食物や細菌などによりpHや温度が大きく変化します。食物を摂取することで歯がかみ合い金属もすり減ります。アクセサリー等と違い常に口腔内に金属が入りっぱなしのため、24時間365日有害物質を飲み込み続けているのと一緒です。継続して唾液により溶け出し体内に吸収・蓄積され、それが過剰になることでアレルギー反応を起こします。
(金属アレルギーを起こしやすい金属)
ニッケル クローム コバルト 水銀 パラジウム スズ
いわゆる(銀歯)の材料であり虫歯を削った後に詰め物や被せ物をして使用する12%金銀パラジウム合金は保険治療で最も多く使われている素材です。しかしアレルギー検査では大半の人に陽性反応が見られるため、海外では歯科治療には使用しないという方針です。
アマルガムという金属は長い間使われてきた金属で水銀、銀、スズ、銅からなる化合物です。しかし水銀は口の中で劣化溶出しやすく、体内に流入し脳や腎臓、肝臓などに蓄積されます。
毒性が強い物質で不眠や頭痛、イライラ、原因不明の痛みとなる可能性があります。現代の治療ではほとんど使用されませんが1970年〜1980年くらいに虫歯の治療を受けている場合の詰め物として使用されている可能性があります。
*チタンは整形外科等でも使われる金属アレルギーが起こりにくい金属です。ごく稀ではありますが人によってはアレルギーの反応がある場合があります。
金属アレルギーを調べる方法
パッチテスト→皮膚に試薬を貼り、皮膚に反応が出るかという検査を皮膚科で受けて見ることで、アレルギー反応の原因となっている金属を特定することができます。
原因となっている金属が特定できれば疑わしい金属を歯から除去することが大切です。
非金属の歯科材料を使用しコンポジットレジンやセラミックス、ジルコニアなどのメタルフリー治療を行ないます。
このように歯の治療にはどんな素材を使うかは見た目の問題だけでなく金属アレルギーのように全身に影響を及ぼす問題でもあります。歯科治療で使った金属が知らず知らずのうちに金属アレルギーの原因になっているのかもしれません。思い当たる方、予防されたい方はご相談してみてください。